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| ギリシャよりA 〜カメナ・ヴーラ〜 |
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<週末のひとときを過ごす> 週末、友人に誘われてカメナ・ブーラへ足を運んだ。 以前ヴォロスから アテネへ戻る際にそこでティータイムを取ったことがある。海がきれい だったことと海岸に沿って立ち並ぶオープンカフェが印象的であった。 ぶらぶらと海岸を散策。 カフェ、タベルナ、ホテルが並んでいる メイン通りは15分も歩けばすぐに人気のない道へと変わる。 小さな町である。 それでも観光バスがひっきりなしに人々を運んでくる。 1937年まではここカメナ・ヴーラは全くと言っていいほど人家も何もない ところであった。 アテネからヴォロス、テッサロニキへの道路が敷かれてから 景観の良いこの地で休息をというのでザハロプラティア(お菓子屋)が 立ち並ぶようになる。 そのせいなのだろう、ティータイム休息をした時に 同行の知人からルクマーデス(ドーナッツ)を食べろと散々勧められたし ルクマーデスを出す店がそこら中にある。 現在では高速道路が山を隔てた 向こうに開通しているが、それでもここを訪れる人々は少なくない。 景観の良さはもちらんだが、実はここは天然の政府公認の温泉(SPA)が あることでも有名な場所である。 保養客も数多いのはこの小さな町の 中にあるホテルの数からも伺える。 以前の立ち寄りの際には 気付かなかったのだが、海岸から道路を隔ててカフェ、レストラン、ホテルの 並びのあるすぐ裏手に山がそびえている。 クニミス山、標高934m。 かなり傾斜の鋭い山で人家はほとんどみあたらない。 修道院がヴォロス寄りの山頂近くにひっそりと建っているのが小さく見える。 そしてこの山から湧き出る水はとてもおいしいものでホテルの 水道水からでもそれを味わうことができる。 夕刻前、友人お勧めのホテルへ向かう。 少々季節はずれなので 問題ないだろうと予約なしで行ったのが失敗であった。 この日、満室。 ―GALINIS― 広々としたレセプションと置かれているソファーの色合いや デコレーションはデラックス・カテゴリーそのもの。 そしてSPAのあるホテルとしても一流で外部と内部の2箇所にある。 外部にあるSPAは山の景色をバックにした中規模のもの。 内部のSPAは 残念ながら宿泊客ではないので見せてもらうことができなかったが、 ラウンジは落ち着いた雰囲気で着替え所はもちろん清潔。 淡いベージュの 色合いと共にアロマ・キャンドルの香りが漂う。 もちろん各種テラピー、 マッサージ、ネイル・ケアー等のサービスも揃っている。 ここに泊まれないのが実に残念である。 泊まることはできないがこんな素敵なホテルなら食事でもしていこうか― レストランへ案内される。 ここでの夕食はバイキング。 種類の多さには 少々驚かされた。 ギリシャ料理はもちろんのこと、ピザやパスタもある。 パスタはオーダーが入ってから茹でる。 ピザはその場で打って炭火焼きに している。 かなり本格的だ。 申し訳ないがこれほど豪華で本格的な バイキング料理を出すホテルはアテネにはない。 結局、まだ日暮れには時間があり散歩がてらプサロタベルナ (魚専門レストラン)へ向かうことにした。 メイン通りにもプサロタベルナは あるが、地元の人お勧めの場所へ行ってみる。 ホテルGALINISを後にして メイン通りを外れて行くとちっぽけな港に出る。 ここにほんの数件の プサロタベルナが並んでおりそのうちの一軒に入った。 ギリシャの作法(?)通りにまず魚を見せてもらう。 悩んだ末にバカラロ(たら)を注文。 ギリシャに住んでバカラロは幾度も 食べたことがあるが冷凍ものばかりであったので― 前菜の焼きイカを 口に入れるとシャリシャリと頭の中にこの音が響いて友人の話が聞こえない。 砂がこの音の原因だとは思うが、舌には何も感じられない。 私の視線が宙をさまよっているのを見て友人が「?」。 「この音、聞こえる?」 (聞こえるはずもなにのだが)。 それで友人が察してウェイターに 「もうちょっと砂だしをした方が〜、新鮮なのは分かっているけど〜」と伝える。 そこから友人とウェイターの間でどれだけこの店の魚が新鮮かという話題に 移っていった(ようだ。 というのはまだ私の頭の中はシャリシャリ音で いっぱいで会話がきちんと聞き取れなかった)。 ようやくシャリシャリ音を お腹に納めて会話に耳をかたむける。 ここで出される魚はこのタベルナの オーナーが自分で釣ってきたものとのことである。 そういえば魚を見せて もらった時に”今日ある魚は―”という表現でなく”今日つれた魚は―”と 言っていたのを思い出した。 ウェイターから突然、 「バルブーニ(ひめじ)とxxx(何であったか忘れてしまった)の骨は何色だ?」 と聞かれる。友人共々間髪を入れずに「白!」 と答えるとそれを待っていたかのように 「残念でした! 答えは黒!」 「えーっ?!」 これは驚き。 黒といっても真っ黒の黒ではないのだろうけど、いままで全く骨の色には 無頓着であったのと骨は白いものとの観念があったから。 ウェイターが続ける。 「とあるアテネからやってきたお客さんがバルブーニを注文して骨が 黒いからこれは新鮮じゃないって怒ったんですよ。 ウチはオーナー自身が その日に釣ってきたものしかおかない主義だし。 新鮮ということの意味が わかってない人がたくさんいる... どれだけ新鮮かは食べてみて分かったでしょ?」 これにも友人共々うんうんと頷いた。 どんなオーナーかお顔を拝見して みたかったが、この釣りオーナーは朝から漁に出るのでこの時間帯には いない。自分が釣った魚を出す店。 何ともいい味わいがあるではないか。 食事と会話を楽しんで店を出るとあたりは夕闇に変わっていた。 このちっぽけ港から海岸線を歩くとメイン通りの灯りがロマンチックに 輝いている。 波の音を耳にしながらホテルへと向かう。 喧騒たるアテネから176km。 週末のほんのひとときは温泉に入れずとも、 お目当てのホテルに泊まれずとも満足に過ごすことができた。 このカメナ・ヴーラも私の”再び”リストに加わった。 |
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